
ChatGPTなどの生成AIを使うとき、「できるだけ詳しいプロンプトを書かなければいけない」と考えている人は少なくありません。
役割、目的、条件、出力形式、禁止事項などを最初に細かく決めてから質問する方法です。
2023年頃の生成AIでは、こうしたプロンプトの工夫が出力品質に大きく影響する場面がありました。「あなたはプロの編集者です」「以下の条件を守ってください」と役割や条件を明示したほうが、期待する回答を得やすかったからです。
しかし、現在は生成AIそのものの性能がかなり向上しています。
そのため私は、普段の利用であれば最初から詳細なプロンプトを書く必要はないと考えています。
むしろ細かな条件を大量に指定すると、AIができることをこちらから狭めてしまう場合があります。
おすすめしたいのは、最初は主題だけを明確に伝え、AIの回答を見ながら対話で具体化していく使い方です。
詳細なプロンプトが重視されていた理由
生成AIが広く使われ始めた頃は、「プロンプトエンジニアリング」という言葉とともに、AIへの指示の書き方が注目されました。
例えばブログ記事を書かせる場合でも、
- あなたはSEOに詳しいプロのWebライターです
- 初心者向けに説明してください
- 3,000文字程度で書いてください
- H2とH3を使用してください
- 具体例を3つ入れてください
- 専門用語を避けてください
といった条件を最初にまとめて入力する方法です。
当時は、このように役割や条件を明確にすることで、出力を一定の方向へ誘導する意味が大きくありました。
そのため「良い回答を得るには良いプロンプトを書かなければならない」という考え方が広がったのだと思います。
今の生成AIは短い指示からでも意図を推測できる
生成AIの性能が向上したことで、状況は変わってきています。
例えば、
「小規模サイトのSEOについてブログを書きたい」
と伝えるだけでも、AIはSEOについて説明するだけでなく、ブログ記事を作りたいという目的まで踏まえて提案できます。
そこで出てきた内容を見て、
「個人事業主向けにして」
「内部SEOを中心にしたい」
「具体例をもっと増やして」
と追加していけばいいわけです。
つまり、最初のプロンプトですべてを決める必要がありません。
生成AIとのチャットそのものを、要件を整理する作業として利用できます。
詳細すぎるプロンプトはAIの能力を制限することがある
細かなプロンプトを書くこと自体が悪いわけではありません。
問題は、必要のない条件まで最初から決めてしまうことです。
例えば「SEOの記事を書きたい」という段階で、
「H2を5個にする」
「各見出しは400文字」
「具体例を各章に1個」
「まとめは300文字」
などと決めてしまったとします。
AIからすると、その条件を満たすことも仕事になります。
しかし、内容によってはH2は4個のほうが分かりやすいかもしれません。ある章は200文字で十分で、重要な章には800文字必要かもしれません。
人間が先に細かく設計しすぎることで、AIが持っている構成や提案の幅を狭めてしまいます。
これは少しもったいない使い方です。
AIに任せられる部分まで、人間が先回りして決めない。
現在の生成AIを活用するうえでは、この考え方も大切になってきたと思います。
最初は「何をしたいか」だけ明確にする
私がおすすめしたいのは、最初のチャットをシンプルにすることです。
例えば、
「AI利用を習慣化する方法を考えたい」
「WordPressサイトのアクセスを増やしたい」
「このCSVを分析したい」
「新しいWebサービスのアイデアを考えたい」
といった程度から始めます。
大切なのはプロンプトの長さではなく、主題が分かることです。
何について考えたいのか、何をしたいのかが分かれば、まずAIに考えさせます。
そして回答を見てから次を考えます。
一度で完成させず、対話しながら精度を上げる
生成AIを検索エンジンのように使っていると、「一回の入力で正解を出してもらおう」と考えがちです。
しかし、チャット形式の生成AIでは、むしろ何度もやり取りできることが強みです。
例えばブログ記事なら、最初に、
「小規模サイトのSEOについて記事を書きたい」
とだけ入力します。
AIが構成を提案してきたら、
「初心者向けにしたい」
と伝えます。
さらに内容を見て、
「企業サイトではなく、個人事業主が自分で作った10〜30ページ程度のサイトを想定して」
と条件を追加します。
その後、
「具体的な改善手順も入れて」
と頼む。
このように進めれば、必要になった条件だけを後から追加できます。
最初から長大なプロンプトを作るよりも、自分自身が考えを整理しやすいというメリットもあります。
AIの回答を見てから人間が方向を決める
この方法では、人間が何もしなくてよいわけではありません。
むしろ人間の役割は、プロンプトを書くことからAIの提案を評価することへ移ります。
AIに一度考えさせる。
その回答を読む。
「ここは違う」
「これは面白い」
「この部分を掘り下げたい」
と判断する。
そして次の指示を出します。
この繰り返しです。
生成AIが賢くなればなるほど、「AIにどう命令するか」だけではなく、AIが出してきたものを見て、次に何をさせるかを判断する能力のほうが重要になっていくと思います。
詳細な指示が必要な場面もある
もちろん、詳細なプロンプトそのものが不要になったわけではありません。
例えば業務で毎回同じ形式の文章を作ったり、決められたフォーマットへデータを変換したりする場合には、条件を明確にしたほうが安定します。
「必ずJSON形式で出力する」「この項目は変更しない」「この文字数以内にする」など、守る必要がある仕様が存在する仕事では、詳細な指示に意味があります。
つまり、
考える仕事では自由度を残し、決まった仕事では条件を与える。
と使い分ければよいと思います。
アイデア出し、記事構成、企画、問題解決などでは最初からAIを縛りすぎない。一方、定型業務や自動化では必要な条件をきちんと定義する。
プロンプトを長くするか短くするかではなく、仕事の性質によって判断することが大切です。
プロンプト作成そのものを仕事にしない
生成AIを使うために、毎回10分かけて詳細なプロンプトを書くのであれば、それ自体が新しい作業になってしまいます。
「良いプロンプトを書いてからAIを使おう」と考えることで、AIを使うハードルまで上がります。
分からなければ、とりあえず聞いてみる。
出力が違ったら修正する。
不足していたら追加する。
このくらいの感覚で使ったほうが、生成AIを日常の仕事へ組み込みやすくなります。
特にAIに慣れていない人ほど、プロンプトのテクニックを大量に覚えることから始める必要はありません。
「何をしたいのか」を普通の言葉で伝えるところから始めれば十分です。
まとめ
2023年頃の生成AIでは、役割や条件を細かく指定することで出力を安定させるプロンプト設計が有効な場面が多くありました。
しかし、生成AIの性能が向上した現在では、何でも最初から細かく指定する必要性は以前より小さくなっています。
私は、まず主題だけを明確に伝えてAIに考えさせる方法をおすすめします。
そして、
主題を伝える → AIに考えさせる → 出力を見る → 必要な条件を追加する → もう一度考えさせる
という流れで精度を上げていきます。
完璧なプロンプトを作ってから生成AIを使うのではなく、生成AIとの対話そのものを使って考えを整理していく。
生成AIの性能が上がるほど、こうしたシンプルな使い方のほうが、その能力を活かしやすくなると思います。
