
「会社のホームページが突然見られなくなった」。サーバーへの攻撃や障害が起きたとき、まず気になるのは、いつ復旧するのかということです。しかし、被害の内容によっては、待っていれば元に戻るとは限りません。公開していたデータとバックアップの両方が失われると、元のホームページを復元できなくなる場合があります。
ホームページには、制作にかけた費用だけでなく、書きためた記事や撮影した写真、サービスの説明など、事業に必要な情報が詰まっています。それを守るには、定期的なバックアップと、保存先の確認が欠かせません。さらに、更新が少ないホームページでは、WordPressを使う必要があるのかを見直すことも、管理の負担を減らす方法になります。
サーバーが復旧しても、ホームページが戻るとは限らない
サーバーへの攻撃といっても、被害はさまざまです。大量のアクセスによって閲覧できなくなる場合もあれば、不正侵入によってファイルを削除されたり、データを暗号化されて使えなくなったりする場合もあります。ホームページが表示されないからといって、必ずデータが消えたとは限りません。
ただし、データが失われた場合は別です。サーバーが再び動くようになっても、その中にあった文章や写真まで自動的に戻るわけではありません。復元に使えるバックアップが残っていなければ、原稿や画像を集めて、サイトを作り直す必要があります。
制作会社に最初の制作データが残っていたとしても、その後に追加した情報まで保存されているとは限りません。公開後に自分で更新した記事や写真については、別途バックアップしていなければ取り戻せない可能性があります。
バックアップは「忘れないようにする」より、仕組みにする
バックアップが必要だと分かっていても、普段の仕事に追われていると後回しになりがちです。ホームページが問題なく表示されている間は、保存を忘れていても困らないため、気づけば何か月も経っていたということも起こり得ます。
そこで、担当者の記憶だけに頼るのではなく、定期的に自動保存する仕組みを用意しましょう。保存頻度は、サイトの更新頻度と、どこまでの変更なら失っても許容できるかで考えます。毎日記事を追加するなら日次の保存が一つの目安になりますし、更新が少ないサイトでも、内容を変更したときにはコピーを残しておきたいところです。
ただし、自動化は設定して終わりではありません。保存先の容量不足や認証の問題などで、処理が失敗することもあります。失敗したときの通知先を決め、バックアップの日時を定期的に確認するところまでを、運用に含めておきましょう。
同じサーバー内のバックアップだけでは不十分
バックアップで特に確認したいのは、どこに保存されているかです。
公開中のホームページとバックアップを同じサーバー内に置いている場合、サーバー全体の障害や、広い操作権限を奪う不正侵入によって、両方が失われる可能性があります。「バックアップ」という名前のフォルダーを作っていても、保存場所が同じなら、被害を十分に分けられません。
同じサーバー内のコピーは、誤操作をすぐに戻す用途では役立ちます。それに加えて、公開サーバーが使えなくなっても取り出せる場所に、もう一つコピーを残すことが大切です。
例えば、外部のバックアップサービスや別のクラウド保存先へ保存する方法があります。手元の外付け媒体にもコピーを確保し、保存後は接続を外しておく方法も考えられます。米国のCISAも、オフラインのバックアップを確保し、復元できるか定期的に確認することを勧めています。www.cisa.gov
別の保存先を使う場合でも、公開サーバーからそのコピーを自由に削除できる設定では、攻撃の影響が及ぶおそれがあります。保存場所だけでなく、アクセス権限や過去のコピーを保護する仕組みも確認しておきましょう。
レンタルサーバーの自動バックアップを利用している場合は、保存期間、復元方法、サービス全体の障害時にも利用できるかを、提供会社の説明で確認してください。
WordPressは、ファイルだけ保存しても元に戻せない
WordPressでは、バックアップの対象が大きく二つに分かれます。画像やテーマなどの「ファイル」と、記事の本文や設定などを保存する「データベース」です。サイト全体を復元するには、両方を保存する必要があります。developer.wordpress.org
例えば、画像やプログラムのファイルが残っていても、データベースが失われると、記事や設定を元どおりに戻せない場合があります。逆に、データベースだけが残っていても、アップロードした写真や独自のデザインが不足することがあります。
WordPressの便利さは、公開後も自分で情報を追加できることです。その一方で、制作時点のデータから、サイトの中身が日々変わっていきます。最初の制作データを保管するだけでは、その後の更新内容を守れません。
WordPressだから必ずデータを失いやすいと、一律に判断することはできません。ただし、自分で更新するサイトほど、増えていく情報を継続して保存する仕組みが必要になります。
更新が少ないホームページなら、WordPressを使わない選択もある
WordPressは、ブログやお知らせを頻繁に更新するサイトでは便利な仕組みです。しかし、会社案内や事業紹介が中心で、内容の変更が年に数回程度なら、その機能をあまり使っていないこともあります。
その場合は、HTMLやCSSなどのファイルを中心に構成する「静的サイト」も選択肢になります。公開サイトにWordPressの管理画面やデータベースを持たせない構成にすれば、管理する仕組みを減らせます。制作データ一式を別の場所に保管しておくことで、公開先に問題が起きた際に、再設置する準備もしやすくなります。
もちろん、静的サイトにもバックアップは必要です。サーバーや契約アカウントが攻撃される可能性はありますし、お問い合わせフォームなどには別途管理が必要です。それでも、ほとんど使わない更新機能のために、複雑な仕組みを維持する必要があるかは、検討する価値があります。
| ホームページの運用 | 検討したい構成 |
|---|---|
| 自分でブログやお知らせを頻繁に更新する | WordPressなどの更新システム |
| 複数の担当者が情報を追加する | 権限管理のできる更新システム |
| 会社案内が中心で、変更は年に数回程度 | 静的サイトも候補 |
| 更新や保守に時間をかけられない | 管理を任せる契約や構成の簡略化 |
大切なのは、更新頻度だけでなく、必要な機能と管理体制に合わせて選ぶことです。「よく使われているから」という理由だけで、WordPressを導入する必要はありません。
制作会社には「どこまで戻せるか」を確認しよう
今のホームページがどのようにバックアップされているか分からない場合は、制作会社や管理担当者に確認してみてください。その際は、「バックアップはありますか」だけでなく、次のように聞くと、具体的な状況を把握しやすくなります。
「公開サーバーのデータがすべて失われた場合、どの時点の状態まで戻せますか?」
合わせて、保存先、保存頻度、保存期間、復元の担当者や費用も確認しておきましょう。バックアップが存在していても、取り出し方や復元方法が分からなければ、対応に時間がかかります。
また、最新のコピー一つだけでは、改ざんされた状態を保存してしまった場合に困ります。正常だった過去の状態へ戻れるよう、複数の時点のコピーを残しておくことも大切です。
まとめ
ホームページのバックアップは、「保存している」だけでは十分ではありません。公開サーバーに問題が起きても取り出せること、必要なデータがそろっていること、実際に復元できることまで確認しておきましょう。
更新が少ないホームページなら、WordPressを使う必要があるかも見直してみてください。必要な機能に合った構成を選び、無理なく管理を続けられるようにすることが、大切なホームページを守る備えになります。
