ホームページを使って集客しようと思ったら「SEO(検索エンジン最適化)」は避けて通れません。世の中には、SEOに関する書籍やブログ、webサイト、YouTubeなどが数え切れないほどあります。しかも、SEO(=SEOコンサルティング)をメイン事業として上場している企業もあります。それだけ、需要があり技術も必要な分野ともいえます。得意・不得意の差はあれど、Web制作者にとっては少なからず理解が必要な分野です。

当事務所の結論

・SEOとは「質問(検索ワード)と答え(コンテンツ)」の関係。質問した人(検索した人)に対して最適な答え(コンテンツ)を用意するのがSEOであると考えています。専門用語では「検索意図」といいますが、検索したキーワードには、その人の本当に知りたいことが隠れています。それを見極めることが大切です。

SEOとは

まずは、一般的にSEOとは何かを振り返ってみます。
SEO(Search Engine Optimization)は「検索エンジン最適化」です。

一般的には、検索結果の上位に表示させる技術のことと理解しているかもしれません。間違ってはいないかもしれませんが、正確ではありません。検索結果の上位表示は目的ではなく手段です。最終目標は自社の売上や問い合わせにつなげることなので、「検索エンジンで狙ったキーワードで狙ったページの上位表示」が業界での一般的な答えになります。

では、そのためにはどんなことを考えてどんな技術を使ってサイトを制作していけばいいのか考えていきます。

前提条件

SEOの「検索エンジン」は事実上、Googleのことを指しています。
世界的に見てもGoogleのシェアが大きい上に、日本ではYahooJAPANの検索もGoogleの検索エンジンを利用しています。私の運営するサイトでは検索エンジンのうち90%以上はGoogleでした。

Googleを理解する

まずは、グーグルを理解するところから始めます。
グーグルが公式に発表している資料のうち代表的なものをみてみます。

専門外の方がみるとやや難しいかもしれませんが、webサイト制作に関わる人にとっては常識的なことが書いてあるだけです。つまり、グーグルはあたりまえの事を丁寧に実行しなさいと言っています。(これさえ読めば、世の中のSEOの情報や書籍は必要ないといってもいいぐらいです。)

正解は誰も知らない

私だけでなく、Web制作者にとってよくある質問のひとつに「どうやったら上位表示できますか?」があります。答えは「わからない」です。でも、「上位表示できる可能性が高くなる方法や施策はありますか?」なら、「あります。」と答えられます。サイトを評価する指標は公開・非公開含めて200種類ぐらいあるといわれています。個々の指標の重要度は違うと思いますが、これらが複雑に絡み合いサイトが評価されて検索結果に反映されるので、グーグルの中の人でさえ上位表示は簡単ではないといわれています。

ブラックな手法は使わない

SEOには、正攻法な手法の「ホワイトハット」とグーグルのバグを利用した裏技的な「ブラックハット」という手法があります。ブラックハットは、うまくハマれば絶大な効果がある反面、ルール違反をしていると判断されると検索結果から永久追放になります。通常の企業サイトはホワイトハットでSEOを施策します。

検討から完成までの手順

検索エンジンから集客したいと思ったら以下の順番で作業します。これは世界中誰もがこの手順で施策を行っています。ですので、競合と差をつけたい場合には密度と検証と作業量が重要です。

キーワード選定

どんなキーワードで検索した人を自分のサイトへ誘導したいかを決めます。
工務店の場合は「注文住宅+地域名」「リフォーム+地域名」「平屋住宅+地域名」などでしょうか。「このキーワードでうちのサイトに来てくれたら注文に繋がりそうだ」と思ったものを考えてみてください。また、ツールを利用して効率的にキーワードを見つけることもできます。

キーワードツール

競合調査

キーワードの候補が挙げられたら、実際にそのキーワードで検索してみてください。検索結果は、椅子取りゲームなのでライバルとの競争に勝たなければなりません。競合が強すぎて勝てそうもなかったら、そのキーワードでの集客は諦めたほうがいい場合もあります。
上位の10件ぐらいを見て勝てそう場合には、そのキーワードに最適なコンテンツを作ります。

コンテンツ制作

キーワードが決まったら実際のコンテンツを作ります。そのキーワードを検索する人の立場に立って、どんなことが書いてあることを期待しているのか、そんな事が書いてあったら嬉しいかを検討します。もちろん、ライバルのサイトを参考にしてもいいですが、コピーはダメです。検索エンジンに評価されないばかりか著作権違反で訴えられることもあります。オリジナルの文章と図や写真でお客様を満足させるコンテンツができれば、上位表示の可能性も高くなります。最近は、AIで制作することも多いと思いますが必ず人の目でチェックしてください。以前に比べてクオリティがかなり上がってきましたが完璧ではありません。

検索結果のチェック・修正

コンテンツができたら、しばらく時間をおいて検証しなければなりません。
狙ったキーワードで上位表示されているのか。また、予想外のキーワードで上位表示されているのかなど結果を測定して検証する必要があります。最初からうまくいく確率は高くないので、コンテンツを繰り返し修正する必要があります。競争が激しいキーワードの上位のサイトは常にコンテンツを見直しています。

分析・検証ツール

SEOのメリット・デメリット

SEOは万能ではありません。良い部分を生かして、デメリットを他の集客方法で補うことも検討してください。

メリット

一度、上位表示ができれば中長期的に集客することができます。コンテンツ制作に費用がかかりますが、うまくいったときの効果は絶大です。無料で自動的にお客様がどんどん訪れてきます。

デメリット・リスク

効果までに時間がかかります。狙っているキーワードによっては永遠に上位表示できないかもしれません。また、上位表示ができたとしてもグーグルのアップデートで検索結果が大きく変わり順位が下がってしまうことも珍しくありません。

最近のトレンド

グーグルは世の中の流れを意識して検索結果の精度をどんどん高くしていっています。現在は不正なサイトはほぼ上位表示されなくなり、不正な手法をつかってもすぐに対応しています。2024年現在、以下のようなトレンドがあります。
一つ一つが詳細に説明する価値があるのですがここでは概略だけ紹介します。

YMYL

YMYLとは、Your Money or Your Lifeの略です。人生のお金や生活に多大な影響を与えるジャンルを指します。例えば、医療、健康、投資、金融、法律、非常時の公式な情報などです。このジャンルはグーグルが厳しく品質をチェックしています。専門外の人はコンテンツを作成しても評価の対象にならない事が多いです。

E-E-A-T

E-E-A-Tとは、「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の略です。Googleの検索品質評価ガイドラインで定義されてるウェブサイトの評価基準のことです。YMYLとセットで語られることが多いです。専門家が専門性の高いコンテンツを制作することでより高い評価を受ける仕組みです。

モバイルファースト

個人が対象のコンテンツは、80%ぐらいがスマホからのアクセスです。そのため、スマホに最適化されたWEBサイトを優遇するというものです。パソコンのWEBデザインだけではなくて、スマホの特性を理解する必要があります。例えば、持ち運べる、画面がパソコンよりも小さい、情報の比較をするのが大変なども考慮しなければなりません。

サイトをモバイルに対応する(Google 検索デベロッパーガイド)

構造化データ

グーグルにサイトのコンテンツを理解されやすく表現する方法です。例えば、パンくずリスト、レシピ、よくある質問、商品情報、動画などがあります。
検索順位に影響はないと思いますが、上位表示できた場合、検索結果で特別な形式で表示されます。

検索ギャラリーを見る(Google 検索デベロッパーガイド)

ユーザーエクスペリエンス(UX)

ユーザーが感じる使いやすさや体験のことです。文字情報だけでなく、WEBサイトの機能や見やすさなど、ユーザーが心地よいと感じて長く滞在したり、再訪問率を高めることがSEOにとっても有利だとされています。

内部リンクの最適化

そのWEBサイトにおいて、重要なページにリンクを集めることで、ユーザーにもGoogleにもアピールすることに繋がります。重要なページならばコンテンツもしっかりと作り込まれていると思いますので、UXと相乗効果でSEOに効果的です。

意味のないSEO施策

ひと昔前には何らかの効果があったSEO対策でも現在では意味のないものもたくさんあります。ここでは代表的な意味のない施策を紹介します。もし、これらの事を言っているWebサイト制作者がいたら勉強不足と言わざるを得ないでしょう。

メタキーワード

「<meta name=”keywords” content=”キーワード”>」とHTMLのhead内に記述するメタタグの一つです。本来の目的は、検索エンジンにそのページの内容がどのようなテーマなのか伝えるために存在しています。ただし、これを悪用する人が多くなったことと、検索エンジンの性能が向上してキーワードを伝えなくても内容を理解できるようになったので現在では使われていません。

キーワード出現率

上位表示したいキーワードがそのページに何%入っているかを示す割合です。以前は、3~5%がいいとか、入れすぎるとスパム扱いになるとか様々な事が言われていましたが、現在ではこれを気にしてコンテンツを作成している専門家はいません。
グーグルは検索ワードの意味を理解して検索結果を返しています。例えば「日本で3番目に高い山」と検索すると、このワードが入っていないページが上位になっています。検索ワードの意味を理解してランキングサイト上位に表示させています。

隠し文字

背景色と同じ色でテキストを書いて、訪問者には見せないけど検索エンジンには認識してもらえるようにする古いテクニックです。例えば、花を売っているページに「入学式 卒業式 お祝い 還暦 金婚式 開店 昇進」など訪問して欲しいキーワードを羅列します。実は、検索エンジンの性能が悪かった頃は絶大な威力を発揮しました。しかし、現在の検索エンジンは文脈を理解しているので単語の羅列はむしろマイナスです。

文字数

これは、現在でも「検索エンジンの上位表示のためには○○○○文字以上は必要」などいわれることが多いです。実は、半分正解でもあります。グーグルは「文字数は関係ない。有益で質の高いオリジナルコンテンツであることが重要」といっています。逆に「コンテンツが不足しており、ページの目的が果たされていない。」ことを避けるべきとも言っています。
特定の情報に丁寧に説明すると必然的に長文になってしまうので、結果的に文字数が多いほうが有利になることはあります。しかし、文字数を目標にして、無駄な内容まで書いてしまうとページの専門性が失われてしまうので逆効果です。

今からできるSEO施策

現在、運営しているWebサイトへのSEO施策は具体的に何をすればいいか迷っていることと思います。初めての方は、焦らずに出来ることからコツコツと進めてください。

内部対策

  1. グーグルサーチコンソールとグーグルアナリティクスに登録して現状把握する。
  2. 既存のページの修正(タイトル・本文)
  3. コンテンツを追加する
  4. 変化を測定・分析して仮説を立てる

外部対策

  1. 被リンク対策をする
  2. グーグルマイビジネスに登録する
  3. X(旧ツイッター)などのSNSを運用する

参考書籍

  • 10年つかえるSEOの基本
  • 沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—
  • できるところからスタートする コンテンツマーケティングの手法88
  • 1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方

SEO対策を外部に依頼する場合

専門家に依頼する場合、何をどこまで依頼するのかを最初に決めてください。社内の体制や予算、実行期間など様々な事情があると思いますので、最初から全部を依頼するのではなくて、無理のない範囲で外部に依頼するのがいいでしょう。

ライティング

社内でホームページの更新ができる場合、ライティングを依頼することから始めるのがいいでしょう。テーマやキーワードを設定して、どんな内容のページしたいのかを決めてください。「ランサーズ」や「クラウドワークス」を使って依頼するのが一般的です。イラストを入れる場合は、ライターとは別にイラストレーターに依頼するか無料の素材を使うのかなども検討が必要です。

コンサルティング

どんなSEO対策をすればいいのかわからない場合や自社でSEO対策をしてきたけど成果が出ない場合はコンサルティングのみを依頼するのもいいでしょう。実際の作業はアドバイスを元に社内で制作パターンが多いです。また、すでに制作会社と契約しているが、その会社がSEOが苦手な場合はSEOだけをさらに別の会社と契約する方法もあります。

全部

社内では何も出来ないけど、SEO対策をしたい場合には全部外部に依頼するしかありません。打ち合わせだけは綿密に行い、最終目標を共有してWEBサイトを成長させていきます。多くの会社では、このパターンが多いと思われます。

詐欺会社の見極め方

どこの業界でも詐欺はありますが、SEO対策も詐欺に合うことに気をつけなければなりません。SEOの詐欺は、単純にお金を騙し取られたというだけでなく、会社のホームページがグーグルのブラックリストに入って、検索結果に一切出てこなくなるというリスクもあります。例えば、どんなSEO対策をするのかを教えてくれない場合、成果報酬の場合は気をつけたほうがいいでしょう。

当事務所のSEO対策

当事務所でもSEO対策を行っています。コンサルティングをしてコンテンツを強化するタイプの王道のSEO対策です。
キーワード選定からサイト設計、ページ設計をしてライティングをします。多くの場合、ライティングは、社内で書いてもらうか、その分野の得意な方に依頼します。
当事務所のSEO対策の特徴は、キーワード単体で考えるのではなく、「キーワード群」として考えます。例えるなら、一本釣りのような「点」で考えるのではなく、網を張って「面」で広く捉えます。

当事務所ではサイト運営をしていますので、常に最新のSEO対策を検証・実施しています。この経験をお客様にも提供します。